福島沿岸スタディツアー

こんにちは。
2期生・理学研究科D1の平田です。
本日は、いわき自主企画の一環として実施された「福島沿岸スタディツアー」の報告を行いたいと思います。
このスタディツアーは、3月に開催された国連世界防災会議の出席者を含む国内外からの参加者に対して、東日本大震災の被害および現状を伝えることを目的に開催されました。
詳細は下記をご覧ください。

《福島沿岸スタディツアー》
1.活動日時・場所
2014年 3月11日(水) 8:30-21:00
2014年 3月12日(木) 9:00-18:00
場所 福島沿岸

2.参加者
【11日】
平田萌々子(理学研究科M2(当時))、伊藤大樹(同)、昆周作(同D1)、山田修司(文学研究科M2)、磯崎匡(同D1)、松本行真(東北大学災害科学国際研究所准教授・リーディングプログラム専任教員)、地引泰人(同助教・同)、杉安和也(同助教・同)、ほか17名
【12日】
山田修司、伊藤大樹、松本行真、菅野瑛大(福島工業高等専門学校専攻科2年)、大友未来(同コミ情報学科3年)、ほか13名

3. 活動目的
平成27年3月14日〜18日に開催された国連世界防災会議の出席者らをはじめとした国内外からの参加者に対して、東北地方太平洋沖地震に起因する東日本大震災の被害、また現状を伝えることを目的とする。福島県沿岸は先の大震災によって「地震」「津波」「原発」の三重苦に見舞われた特異的な地域であることから、本スタディツアーの実施地として選定された。また、東北大学本リーディングプログラムと諸関連機関(東北大学災害研、福島工業高等専門学校)協働で実施している震災からの復興支援活動の認知をねらいとする。

4. 活動概要
4.1 行程
【3月11日】
8:30 東北大学工学部発
9:00 仙台国際ホテル発
(仙台東部道路・常磐自動車道・国道6号を経由)
12:00〜13:00 道の駅よつくら港にて駅長・NPO役員による説明
13:30 昼食
14:30〜15:30 いわき市内沿岸部にて復興関係者による説明、慰霊祭参列
16:00〜19:30 福島工業高等専門学校にて地域フォーラムへの参加・発表
20:30 懇親会
【3月12日】
9:00 いわきワシントンホテル発
10:00〜12:00 広野町役場にて町長による説明、火力発電所の視察、
            除染現場・廃棄物仮置き場の視察
13:00 昼食
14:00 楢葉町・富岡町にて洋上風力発電施設・仮説処理施設の視察
(国道6号・114号・常磐自動車道を経由)
17:45 仙台国際ホテル着(帰仙)
18:00 東北大学工学部着

4.2 内容
【3月11日】
 東北大学工学部にて学生・教員2名・ツアー参加者1名が集合し、出発。その後、仙台国際ホテルにてその他の参加者と合流した。いわき市に向けて、仙台東部道路・常磐道・国道6号を経由して移動した。その道中、東日本大震災の実態や、その影響などについて伊藤大樹(理学研究科M2)・山田修司(文学研究科M2)・杉安先生(リーディングプログラム専任教員)よりツアー参加者に対する説明がなされた。具体的には、1)仙台東部道路が「高台」としての役目を果たし、津波の浸水を堰き止めたこと。また、この経験を基に幹線道路が一時的な津波避難場所となりうるという考え、2)震災当時、広範囲で交通網が断たれたため「櫛の歯」作戦が実行されたこと、3)東日本大震災の影響で開通が遅延していた常磐道が3月1日にようやく開通し、利便性が向上したこと、4)原発の事故による影響で、立ち入りもしくは居住が制限されている地域が存在するという実情などについてである。また、こうした説明を行う際に巡検マップを用いた。
 その後、いわき市沿岸に位置する道の駅よつくら港(福島県いわき市四倉町字5−218−1)にて駅長による説明を受けた。
駅長・白土健二氏からは道の駅よつくら港の概要と震災当時の状況、またその後の復興の様子に関する話題が主であった。参加者は熱心に耳をかたむけており、当時の避難経路や営業再開までに要した日数などに関しての質問も見受けられた。また、非常用簡易トイレや電源(階上に配置)、非常時避難場所としても使用できるテラスなど災害に対する備えに関しての説明も受けた。さらに隣接するチャイルドハウスふくまる(福島県いわき市四倉町字5−218)を視察した。
 昼食後、いわき市沿岸に位置する薄磯地区を訪問した。薄磯地区では薄磯復興協議委員会の室谷和範氏・鈴木勝氏から、震災当時の被害や避難の様子、高台移転や防災緑地といった現在の復興の状況について説明がなされた。
参加者からの質問も多く、津波被災地に対する興味関心の高さがうかがえた。本スタディツアー実施日は東日本大震災の発災からちょうど4年に当たる日であったことから、東北地方太平洋沖地震発生時刻である14時46分に、修徳院(福島県いわき市平薄磯字中街100)にて黙祷および焼香を行った。その後、福島工業高等専門学校(福島県いわき市平上荒字長尾30)で行われた地域フォーラムに参加した。地域フォーラムは3部構成となっており、各部において2〜4組の発表・報告が行われた。1)海外の津波災害の取り組み、2)被災自治体や住民による復興の取り組み、3)被災地教育研究機関の取り組み。本フォーラムにおいて、昆周作(理学研究科D1)がいわき市で実施している学生自主企画活動の活動概要について報告した。

【3月12日】
 ホテルを出発後、国道6号線を通り広野町へ向かった。広野町ではまず、広野町役場(福島県双葉郡広野町大字下北迫字苗代替35)を訪問し、町長より町についての概要説明を受けた。その後、東京電力(株)広野火力発電所(福島県双葉郡広野町大字下北迫字二ツ沼58)を見学した。
発電所内ではツアー参加者は3グループに分かれ、職員から発電所の設備等の概要、東北地方太平洋沖地震による発災への対応から復旧について説明を受けた。またシンボルともなっている200メートルの煙突のなかへ入り、エレベーターを使用して180メートルまで登ることにより周辺地域を一望することができた。発電所見学の後、除染現場と災害廃棄物および除染で発生する汚染廃棄物等の仮置き場の視察を行った。その後、再び広野町役場を訪れ、町長および町職員から町における除染の現状説明や復旧・復興について説明を受けた。役場を出発後、国道6号線を北上しながら、楢葉町出身の菅野瑛大氏(福島工業高等専門学校専攻科2年)によるバスガイドで、浜通り南部の自治体の現状や震災前の生活について説明を受けた。福島第一原子力発電所事故によって原発周辺自治体は現在、3つの避難区域(帰還困難区域、居住制限区域、避難指示解除準備区域)に分かれている。住民が避難を強いられている一方で復旧・復興事業の作業員は滞在ができる現状に対する住民の両義的な感情についてや、在りし日の町の生活風景を想起できる自身の思い出などが話題とされた。また休憩を兼ねて広野町の料理(みさか和風料理店:福島県双葉郡広野町折木正木内224−1)にて昼食をとった。
 昼食後、菅野氏によるガイドを受けながら、楢葉町では天神岬スポーツ公園(福島県双葉郡楢葉町大字北田字上ノ原27番地の29)、富岡町ではJR常磐線富岡駅(福島県双葉郡富岡町大字仏浜字釜田24)で下車した。
楢葉町では、東京電力福島第1原子力発電所事故による長期避難が行われている町の様子や洋上風力発電を見ることができた。富岡町では、当時の津波被害が未だ残っている現状と仮設処理(破砕選別、減容化)施設を見ることができた。
 富岡町を出発後、国道6号線を北上して国道114号線に入り、浪江町内を通過し、浪江インターチェンジから常磐自動車道を走行し、仙台へと向かった。大熊町からは山田修司(文学研究科M2)がバスガイドを担い、被災自治体における津波避難訓練と原子力防災訓練(災害科学国際研究所・松本准教授の調査を参照)の調査を事例として、いわゆる東日本大震災の問題を紹介した。例えば、行政主導による避難訓練は原子力と津波双方で計画または実施されていたが、住民に根付いたものであったかには疑問が生じている。また浪江町からは同じく山田が浪江町出身者として、発災から避難までの当時の状況と現状について説明した。国道6号線から浪江ICへは国道114号を通過するが、2011年3月12日早朝に、防災行政無線によって住民は地区ごとに自家用車または町の用意したバスを用いて内陸の津島地区へ避難したルートでもあることなどを説明した。地震、津波、そして原発事故と災害時の情報の意義も話題とした。